BRITISH EQUIPMENT TRADINGが提携する1月にシネスイッチ銀座他全国順次ロードショーのイギリス映画 STILL LIFE 『おみおくりの作法』のチラシにも使われているワン シーンですが 場所はキングス クロスのセント パンクラス。主人公がオーカムに行くのに乗るイースト ミッドランド鉄道のホームの端に在るジョン ベッチェマンのブロンズと並んで像の視線の先に在る物を見つめる場面です。
ベッチェマンは慈しみのある視線で書かれた作風で有名な詩人で大英帝国勲章のCBEを授かっています。彼の優しさは詩作だけに留まらず 若い時からビクトリアン時代の建築の再生にも熱心でした。1970年代には汚くて犯罪の多かったキングス クロス駅の状態を嘆き 再開発を提言します。ヨーロッパからのユーロ スターを発着させるなどの彼の先見あるアイデアも成功し現代のキングス クロスは古い物を残しながらも最新の機能を兼ね備えた駅として再生しています。ガラス ドームを見上げる彼の銅像が立つプラット ホーム3に行って来ました。
セント パンクラスはプラット フォームが2階にもあります。この彫像は地上にではなく2階です。英語でstill life とは静物画。動けない＝生命が無い物を慈しんで描く時に使う美術語です。
ベッチェマンに代表される『見捨てられし物への愛情』はとても英国的。久しぶりの名作と言えるのではないでしょうか。是非 皆様もstill lifeご鑑賞下さい。
