これまで、クロノグラフや89年ロイヤルネイビークォーツデッドストックなどご紹介しましたが、1976年製手巻きのW10ウォッチも取扱っています。
CWCがクォーツへ移行する、1980年以前の手巻きの時計です。
文字盤、そしてステンレスの塊をくり貫いて成形されたバレル型のワンピースケースの裏面それぞれに存在するのがブロード・アロー。
このマークの始まりは17世紀に遡ります。
1693年から1702年まで、英軍の大砲など全てのイクイップメントを統括したヘンリー・シドニー伯が、君主の金で購入した武器・弾薬にシドニー家の紋章を入れて厳しく管理したことがそもそもの起源です。
シドニー家の紋章は、内側がギザギザした刃の「戻り」と呼ばれる2枚のV字ブレードを持ったPheon=鏃(矢じり)をかたどっています。
この紋章が簡素化され、V字ブレードが逆に配置され、広幅の上向き矢印= "broad arrow"、イギリス政府官給品のロゴマークとなりました。
国防省の厳密な管理のもとブロード・アローは使い続けられ、ホールマークと同じく、リプロデュースは禁じられています。
英軍の求める高い水準をクリアした証、ブロード・アローを背負った時計は、厳しい訓練あるいは実戦を経て生き残り、35年を経た今も次の出番を待つ程の強運の持ち主といえるでしょう。
しかし、軍モノといえど手巻きの時計を日々酷使するのは厳禁です。たまに取り出し使い、とことん長く付き合っていける相棒としてお手元に置いていただきたいと思います。
CWC(キャボット・ウォッチ・カンパニー) ブリティッシュ•アーミー 手巻きウォッチ 1976
ケース径:横35×縦41×厚さ10mm
価格: ¥48,300-(税込)